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正しい薬の使い方を知って、もっとよくなってもらいたい

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今までアトピーで皮膚科にかかって、ちょっとましになっていた患者さんへ

最後に、まとめとして、私(院長)からのメッセージ「アトピー診療をしていて思っていること」をお伝えします。

医学の進歩で、JAK阻害剤の内服、生物学的製剤の注射など、患者さんの症状改善に役立つようになりました。ただ、効果が一時的で、止めると再発するので止められない状況も起こっているようです。

一方で、2014年に「乳児期の保湿剤外用でアトピー性皮膚炎、食物アレルギーを予防」という内容の論文が、国立成育医療研究センターから発表されました。皮膚の乾燥をケアし、皮膚からのアレルゲン侵入、経皮感作けいひかんさを防ぐことで、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの発症を減らすことが出来るという結果が報告されています。

私も日々の診療の中で、アトピーが調子よい患者さんの皮膚は、乾燥も改善してきていることを実感しています。

皮膚の乾燥、バリア機能を改善して刺激に対して強い皮膚を作り、アトピーの再発を防ぐのは、「維持療法」の役割です。プロトピック(タクロリムス)、コレクチム、モイゼルト軟こうなどのステロイドを含まない「非ステロイド軟こう」が「維持療法」の主力になります。

ただし、「維持療法」でよい状態をキープするためには、一旦アトピーのかゆみ、かきむしりをよくしておく必要があります。かゆみが強くてアトピー症状のコントロールが出来ていないときには、しっかりステロイド軟こうを外用して炎症を改善させる「寛解導入療法」を行います。

「寛解導入療法」「維持療法」では、「私が開発した○○軟こう」など、スペシャルな薬は必要ありません。診療ガイドラインにそって、普通に処方できる薬を、上手に使いこなしていくことがポイントになります。

まず「寛解導入療法」ですが、これまでよくならなかったやり方とは全然違う外用方法を説明しますので、はじめはビックリする患者さんが多いと思います。
アトピーのかゆみをよくするためには、ステロイド軟こうを、一週間しっかり、こわがらずにぬることが大切です。副作用を出さない、よくなるぬりかたを説明、指導します。それを聞いて、自宅で一週間実行してもらえれば、症状がよくなってくるのを実感してもらえると思います。

「寛解導入療法」で症状が改善できたら、再発防止の「維持療法」をおこなっていきます。一旦よくなった皮膚も、何もしないとまたかゆみが再発してきますので、再発防止の「維持療法」が必要なのです。「維持療法」は、皮膚の乾燥、バリア機能が改善するまで根気よく続けます。途中で、夏の汗、紫外線、春秋の花粉、冬の乾燥、ホコリ、食物アレルギー、ストレスなどで、かゆみが再発することもありますが、ちょっとかゆい、体の一部がかゆいときに、そこだけステロイド軟こうに戻すと、早くかゆみがおさまり、全身に広がることを防げます。これが「リアクティブ療法」です。いつまで「維持療法」を続けるか、ステロイド軟こうに戻した方がいいのか、など、皮膚の状態によって治療の内容は変わることがありますので、よくなっていても、月一回の定期的な通院がベストと思います。

アトピー性皮膚炎がよくなるための三箇条

↑画像を貼っています。
ダウンロードして時々見直そう。

「かゆいときだけ皮フ科に行って、薬もらってぬったら、ちょっとましになる」「軟こうがなくなったらまたかゆくなる」ではなく、「まつもとクリニックに定期的に通院して、再発防止の治療を受けて調子がよい」ようになってほしいと思っています。

まつもとクリニック  院長 松本 哲宜