この前、夏休みで久しぶりに来院された患者さんを診察しました。
他府県の大学に進学した学生さんで、引っ越しする直前の3月に当院で処方していた軟こうがなくなってしまい、大学の近所の皮膚科を受診した時の話をしてくれました。
その皮膚科はとても混んでいて、診察室に入ったら「ん、アトピー?」「お薬手帳見せて」「じゃあ薬出しとくね」で、診察終了。
軟膏は当院処方と同じものをもらえたので、当院で説明を聞いていたやり方でぬったら、かゆみがおさまった、とのことでした。
私(院長)自身は皮膚科には縁がないのですが、その患者さんの話、また「よくならないので診て欲しい」と当院に来られる初診の患者さんの話を聞いていると、普通の皮膚科の診察ってこんな感じ?と思ってしまいます。
そこには、アトピー性皮膚炎がよくならない一番の原因が隠されています。
それは、「ぬりかたがわからなければ治らない」問題です。
「かゆいところにステロイドをぬりなさい」
「しっかりぬらないと治らないよ」
どれくらい?1日何回?何日間?しっかりってどんな感じ??
例えるなら、普通はありえないのですが、インフルエンザで内科を受診してタミフルを処方され、飲み方を説明されてなかったとしたら、どうでしょうか。
薬の飲み方、聞くのを忘れとったんじゃ。(注1)
病院から家に帰って薬袋の中を見ると、タミフルが10カプセル入っていました。
「しもうた、薬の飲み方聞くの、忘れとった」
「そういやぁ、残さず全部飲むように言うとったのぅ」
「風邪薬は普通、1日3回じゃけぇ、朝昼夜1カプセルずつかのぅ」
「ネットで調べてみよ」
「タミフルはぎょうさん飲まん方がええって書いとった。なら1日1カプセルじゃ」(注2)
(なんでそうなるん。電話して聞きゃあよかろーが)←心のツッコミ
ちなみに、成人の正しい飲み方は、タミフルカプセル(75mg)1回1カプセル、1日2回朝夕食後、5日間です。
少ない量では、薬の治療効果を発揮することはできませんね。
アトピー性皮膚炎のステロイド外用治療については、まさにこのような問題、混乱状態があるのです。
では、「よくなるぬりかた」とは、どんなぬりかたなのでしょうか。
それは、【2】に続く